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誤診 [はっきり]

あけおめ・ことよろ!略せば良いというものではないが、つい使ってしまう便利な言葉です。
英語のAbbreviation的にいうと、A Happy New Year(AHNY)となるのだろうか?読み方は”あーニューヨーク”となってしまう・・・・やはり言葉を変に省略するのも、日本の文化なのだろうか・・・

さて、新春第一号は、Hotな話題で”誤診”です。
私は元日早々から働いており、さっそく誤診症例に出くわしました。周辺病院は、年末20日頃からから患者入院を極力減らし、救急指定病院にも関わらず29日以降は入院さえも拒否している状態・・・。何のための”指定”なのか??結局、儲けのためなのだが・・・ということで、年末の手薄の時に救急患者を受け入れて、急変などトラブルになると本当に面倒なことになるため、中小の病院は完全閉鎖となり、我々のような中隔病院へ患者達は流れてきます。これも、ご時世ですよね。医者は100%確実なことをしないと、刑事事件の犯人になる時代ですから、これも医者の防御対策なんですよね。

ところで、人間ですから医者だって間違いはあります。開業の先生が、めまいの患者に”脳梗塞だから・・・・・”といって当院に紹介してきて、我々が診察すると単なる貧血やメニエールだったりする。極端な話、これも誤診の一つである。つまり、軽症な病気を重篤な疾患と間違えることは、たびたびある。しかし、その逆は犯罪になることがあります。念頭において、十分な対応策をこうじれば良いのだが、念頭におかず漫然と放置・誤った指示をすることは、まずい。

元旦から、そんな犠牲者がやってきた、某大学病院で適切な診察・指示を受けずに、専門でない病院へ紹介され、その紹介先の病院では、失敗した検査所見をそのまま訂正せずに解釈し、脳外科疾患だと我々に紹介した。この間、約2週間。我々のもとにやってきて、めちゃくちゃな検査所見を正しながら、症状経過からいわゆる難治性神経内科疾患の可能性が高く、腰椎穿刺で即座に診断できた。計1時間で診断可能でした。結局、我々の信頼できる専門施設へ転送となった。

この勝負、後だしジャンケンと同じで、我々は全ての経過を踏まえた上で、このような結論に至ることができたが、初診ではどうだったのだろう・・・・しかし、病状経過を聞けば、念頭にあがる疾患はあるし、専門医であれば”なんか変だな~”と何か匂うはずであろう。

つまり今回は難治性の病気であったとしても
①適切な症状経過とその対応と指示
②正しい検査の実施と判断
に対して、やや問題を残したと思われる。

医者を擁護するわけではないが、予約外で年末に大量に押し寄せてくる患者さんの対応は、はっきり言って疲労困憊する。約10時間も外来で、缶詰になっていたら正しい判断もできなくなる。このような医療体制・医療環境を整備しなければ、このような誤診もなくならないであろう。これは医師個人の責任ではなく、やはり行政の問題と思われる。付け焼刃の対応だけでなく、根本的に国民健康保険制度・医療制度を見直すべき問題とおもわれます。

”患者が医療の中心”というのは十分理解していますが、それを支える医師の環境だって重要なものであることを理解してほしいですね。


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救命・救急医療 [はっきり]

前回で今年最後にしようとおもったブログでしたが、ふと昨日の当直で思ったことがあり、これをもって今年最終回にします。やはり医学ねたが、最後じゃないと締まりませんよね。

さて救命救急という言葉に関して、世間としては1専門用語になっています。実際に救命救急医学講座という科もありますからね。

しかし、ふと考えてみると救急=救命ではなく、救命=救急ではないですよね。医療=救命でもないし不等号的に考えると医療>救命ですよね。などと、訳わからないカオスの中に入りえられた結論。
極論的に噛み砕くと、
救命救急とは、”急いで診療し命を救うことで、命に関係ない社会的背景は考えない”
救急医療とは、”急いで診療し命を救うことで、命に関係ない社会的背景を考慮する”
救命救急医療とは、社会的背景の考慮の面で矛盾する???

ということで、”救急医療”の方が適切ではないかと思いました。

さて、本当に今年も良く働きました。朝7時30分からカンファレンスが始まり、平均帰宅は午後9時。毎日約12時間は働きます。月平均当直7から8回。あまり寝られません、救急センターですので。
ご時世的には、労働基準法違反です。過労死しますよ。国民の健康維持は平等に与えられる現在、皺寄せは医療現場に直接来ています。アメリカほど画一的でなくても良いと思いますが、骨太の医療制度の枠組みを作っていただきたいと思います。特に無過失保障と地方自治体の救急医療体制の整備は、急務と思われます。早くしないと、今後それを担う若者がいなくなった、救急医療が崩壊するでしょう。現場ではそれを実感すべく、人材不足となっています。
私自身も救急医療全般に携わってきましたが、そろそろ荷が重くなってきたため、今年で本職の脳神経外科専属になる予定です。
みなさん、私のような負け組みを多数作らないよう、社会全体で健康維持に取り組みましょう。

では、みなさん良い年を。 ちなみに私は年男です。


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